◆所蔵品から◆資料ナンバー5819 愛知時計の時計の話 資料班

時計
直径40センチ以上の時計です。広いところ用でしょうか。遠くから読めるように数字もくっきりはっきりしています。
文字盤にはAICHI TOKEIの文字。ピースあいちで先月(2015年3月)行われた名古屋の空襲をテーマにした企画展のなかで「愛知時計への空襲」が取り上げられていました。それでこの時計をご紹介しようと思ったのです。
戦争中の愛知時計では、飛行機を造っていました。戦争に役立つものを造る工場だということで、空襲の時に標的になったのです。
明治時代、日露戦争のころから、精密機械の技術を見込まれて、愛知時計には軍から兵器や飛行機の注文が来ていました。
(参考:ピースあいち・メールマガジン第18号
「シリーズ 戦争を考えるための遺跡②◆ 愛知時計電機 殉職者之墓 金子 力」
)


時計 上:文字盤 下:開いたところ
詳しく見ていきます。
文字盤のアップです。AICHI TOKEIの文字の上には、穴がふたつ開いています。ぜんまいを巻く時の穴でしょうか。上のほうには小さい字で「TRADE MARK」、そのまん中にAとCを組み合わせたマークが入っています。
文字盤の左上、10・11・12あたりの字が斜めにこすれたようになっています。よーく見ると、一度消えた文字を書き直してあります。1分ごとの目盛りも、長さや向きがそろっていなくて、手で書いたように見えます。長針が回るときにこのあたりの文字盤をこすってしまって表面がすり切れてしまったのではないか、という説を聞いて、なるほど、と思いました。
「9」の横につまみが、「3」の横に蝶番があって、カバーのガラスは扉のように開きます。


時計 下部の扉
下のところも開きます。開けてみます。


時計 内部
中は機械です。
ねじを外さないとこれ以上機械には近づけないようです。狭い入り口からのぞき込んで頑張って写真を撮ってみました。上へ向かう柱が3本あります。中央奥の柱が、時計の中心、針につながっています。左右の手前の2本は、AICHI TOKEIの文字のそばの、ぜんまい用の穴になります。
下の写真は、ちょっと角度を変えて撮ってみました。文字盤の裏が鏡のようになって、機械の上面が映っています。真鍮色の歯車や、ぐるぐる巻きのぜんまいが見えます。

時計 内部
わきのほうも見てみます。自転車のベルのような部品の上に、渦巻き形の金属がつけられています。ハンマーのようなものも見えます。音の出る時計みたい。渦巻きのところが揺れると、じゃららん、というか、ごわわん、というか、昔の時計の音がします。


時計内部(写真上) 振り子 表・裏(写真下右・下左)
機械の足もと、丸で囲ってあるところが、フックのようになっています。振り子(のおもり)を取り付けるところです。時計の内部(文字盤の裏側)で振り子が揺れるのです。
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http://www.peace-aichi.com/20140422_tokeiaichi.pdf
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